遺産分割協議書とは|作成の流れやひな形を使って書き方を詳しく解説

相続問題

遺産分割協議書とは|作成の流れやひな形を使って書き方を詳しく解説

札幌法律事務所 所長 弁護士 川上 満里奈

監修弁護士 川上 満里奈弁護士法人ALG&Associates 札幌法律事務所 所長 弁護士

亡くなられた人(=被相続人)の遺産について、誰がどのように引き継ぐのかを、相続人全員で話し合って決めることを“遺産分割協議”といいます。

遺産分割協議で合意できた内容を明確にし、後に無用なトラブルが起こらないようにするためにも、【遺産分割協議書】を作成しておくと安心です。

今回は、【遺産分割協議書】に焦点をあてて、どのような場面で遺産分割協議書が必要になるのか、どのように作成するのかを解説していきます。

ケース別の書き方についてもひな形を使って詳しく解説していきますので、ぜひ参考になさってください。

Contents

遺産分割協議書とは

遺産分割協議書とは、“遺産分割協議”において、法定相続人全員で被相続人の遺産の分け方について話し合い、合意した内容をまとめた書面のことです。

遺産分割協議書の作成について法的な義務はないので口頭でも協議は成立しますが、相続手続で提出が求められることがあるほか、後々「言った・言わない」のトラブルを防ぐためにも、協議の内容を明確にまとめた遺産分割協議書を作成しておくことをおすすめします。

遺産分割協議書は必要か

遺産分割協議書は、作成が法的に義務付けられていないとはいえ、相続手続で必要になるほか、相続人間のトラブルを回避するためにも作成すべきと考えられます。

以下、具体的にどのような場面で遺産分割協議書が必要になるのかを詳しくみていきましょう。

法定相続分や遺言書通りに相続しない場合は必要

遺産分割協議を行い、法定相続分や遺言書とは異なる内容で遺産分割する場合は、各相続人の相続分を証明するために遺産分割協議書が必要になります。

  • そもそも被相続人が作成した遺言書がない
  • 遺言書に記載されていない遺産がある
  • 遺言書の内容に納得できない

などのようなケースで、民法で定められた相続割合である法定相続分とは異なる内容で遺産分割する場合には、相続人全員で遺産分割協議を行うことになります。

このとき、遺産分割協議で相続人全員が合意した相続分であることを証明する資料として、遺産分割協議書を作成する必要があります。

相続税の申告をする場合は必要

遺産分割協議を行い、法定相続分や遺言書とは異なる内容で遺産分割する場合は、相続税を申告するにあたって、各相続人の取得金額を証明するために遺産分割協議書が必要になります。

遺産の総額が“基礎控除額”に満たなければ、相続税の申告は必要ありません。

<相続税の基礎控除額>
3000万円+(600万円×法定相続人の数)

一方で、遺産の総額が基礎控除額を上回る場合や、“配偶者の税額の軽減”“小規模宅地等の特例”といった控除や特例を適用する場合には、税務署で相続税の申告手続を行わなければなりません。

相続税の申告の際には、申告書のほかに各相続人の相続分を証明する資料として、遺産分割協議書を提出する必要があります。

名義変更が必要な遺産がある場合も必要

相続手続において名義変更が必要な遺産がある場合、遺産分割協議書が必要になることがあります。

土地や建物などの不動産、自動車、株式、預貯金など、相続によって所有者が変わる場合、名義変更の手続きにおいて各相続人の相続分を証明する資料として、遺産分割協議書が必要になることがほとんどです。

特に不動産については、2024年(令和6年)4月1日より相続登記が義務化されました。

正当な理由なく期限内に手続きを行わない場合、10万円以下の過料の適用対象となるおそれがあるため、速やかな遺産分割協議書の作成が求められます。

「やっぱりやり直したい」「合意していない」といったトラブルを防止できる

遺産分割協議がまとまった後に、「気が変わって協議をやり直したい」と言われたり、「協議に合意した覚えはない」と言われたりして、相続人間でトラブルとならないためにも、合意した内容を示す証拠として遺産分割協議書が必要になります。

相続人間での争いが想定される場合だけでなく、親族関係が良好である場合も、口約束だけだと、後から蒸し返されたり、やり直しになったりするリスクはゼロではないため、協議で合意した内容をまとめ、相続人全員で確認・署名捺印した遺産分割協議書を作成しておくと安心です。

遺産分割協議書が不要なケース

相続人が一人だけの場合や、遺言書に従って遺産分割する場合など、次に挙げるような「遺産分割協議を行う必要のないケース」では、遺産分割協議書を作成する必要がありません。

  • 相続人が一人だけの場合
    はじめから相続人が一人しかいない場合や、相続放棄や相続欠格・相続廃除によって相続人が一人だけになった場合、その人が全ての遺産を相続することになるため、そもそも遺産分割協議を行う必要がありません。
  • 全ての遺産を遺言書に従って遺産分割する場合
    全ての遺産の分割方法が遺言書で指定されていて、その内容に従う場合も、遺産分割協議を行う必要がないので、遺産分割協議書も不要です。

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遺産分割協議書はどこでもらえるの?

遺産分割協議書は、役所・金融機関・法務局などでもらえる書類ではなく、相続人または専門家が作成する書類です。

特定の様式が指定・配布されているわけではないので、手書きやパソコンで遺産分割協議書を作成することになります。

遺産分割協議書を作成できる人

遺産分割協議書の作成は、自分たちで行うことも可能です。
専門家に依頼する場合、一般的には、次に挙げるような人が遺産分割協議書を作成します。

  • 相続人
  • 専門家(弁護士、司法書士、行政書士、税理士など)

遺産分割協議書は自分で作成できる?

遺産分割協議書は、相続人ご自身で作成することも可能です。

もっとも、内容に不備があると相続手続が円滑に行えなくなってしまうため、ご自身で作成することに少しでも不安を感じる場合は、弁護士などの専門家に作成を依頼すると安心です。

遺産分割協議書の作成を専門家に頼むと作成費用はいくらかかる?

遺産分割協議書の作成を専門家に依頼した場合の費用相場は次のとおりです。

  • 税理士:遺産総額の0.5~1.0%
    税理士は、相続税の申告が必要な場合に遺産分割協議書の作成を行うことが多いです。
    相続税の申告を行うことと関係し、依頼者が得る財産のみならず、遺産総額を基準として費用を定めることが多いようです。
  • 司法書士:5万~12万円程度
    司法書士には、遺産分割協議書の作成とあわせて、不動産の相続登記を依頼することが可能です。
    ただし、不動産の相続登記を行う際には、司法書士への報酬とは別に、多額の費用が必要になることがあります。
  • 弁護士:経済的利益の10%程度
    「経済的利益」とは、多くの場合、依頼者が獲得する財産や、失わずに済む財産のことを指します。
    弁護士は、遺産分割協議書の作成だけでなく、交渉や紛争解決など幅広いアドバイス・サポートが可能です。弁護士に遺産分割協議の交渉を依頼する場合には、弁護士から直接他の相続人へ連絡し、財産の分け方について話し合いを進めることができます。
    なお、遺産分割協議において依頼者の代理人として他の相続人と法的な交渉を行えるのは弁護士のみです。

遺産分割協議書はいつまでに作成すればいい?期限はある?

遺産分割協議そのものに期限や時効がないので、「いつまでに遺産分割協議書を作成しなければならない」という定めもありません。

もっとも、相続手続のなかには期限が定められているものがあって、遺産分割協議を行っていないことで手続の期限が過ぎてしまうと、ペナルティの対象になったり、ご自身の権利を主張できなくなったりして不利益を被るおそれがあるので、遅くとも次の手続に間に合うように遺産分割協議書を作成することが望ましいです。

遺産分割協議が影響する相続手続 手続の期限
相続税の申告・納税 相続開始を知った日の翌日から10ヶ月
不動産の名義変更
(相続登記)
相続や遺贈によって不動産を取得したことを知ったときから3年
特別受益・寄与分の主張 相続開始のときから10年

なお、相続手続に必要な書類のなかには、「発行から3ヶ月以内」などと有効期限が定められているものがありますが、遺産分割協議書については有効期限がありませんので、可能な限り早めに遺産分割協議を行って、遺産分割協議書を作成しておくようにしましょう。

遺産分割協議書の作成に必要な書類

遺産分割協議書を作成するにあたっては、不動産の登記簿謄本や預金の残高証明などの「遺産に関する資料」のほか、相続人を確定するために次のような書類が必要になります。

必要書類 入手先
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本類
(除籍・改製原戸籍・現戸籍)
本籍地がある市区町村役場
被相続人の住民票除票
または戸籍附票
住所地の市区町村役場
相続人全員の戸籍謄本
(戸籍全部事項証明書)
本籍地がある市区町村役場
相続人全員の印鑑登録証明書 住所地の市区町村役場

遺産分割協議書の作成方法と流れ

遺産分割協議書の様式や書き方に法的な決まりはありません。

作成方法は手書きでもパソコンでもかまいませんし、使用する用紙のサイズやペンも自由です。もっとも、記載する内容や綴じ方については注意すべきこともあるので、次項で詳しく解説していきます。

遺産分割協議書の書き方

遺産分割協議書には、主に次の7項目を記載します。
書面が1枚で収まらなかった場合はホチキスで綴じ、契印で複数枚に及ぶことがわかるようにします。

  • ①タイトル「遺産分割協議書」
  • ②被相続人の情報(氏名、逝去日、本籍地、最後の住所、生年月日)
  • ③遺産分割協議への合意の事実
  • ④遺産の内容と分割方法
  • ⑤作成日付
  • ⑥相続人全員の情報(氏名、現住所)
  • ⑦相続人全員の署名捺印(実印)

以下、遺産分割協議書の書き方をひな形でご紹介します。

遺産分割協議書の書き方

遺産分割協議書の綴じ方

遺産分割協議書が2枚以上になる場合はホチキスで綴じて、偽造や抜き取りを防止するために契印を押します。

なお、遺産分割協議書は相続人の人数分が必要なので、2通以上作成する場合は割印も忘れないようにしましょう。

【契印の方法(ホチキス止め)】

ホチキス止めした遺産分割協議書は、全ての見開きのページ間に契印を押します。
契印についても、相続人全員が実印で行うようにしましょう。

契印の方法(ホチキス止め)

【契印の方法(製本)】

遺産分割協議書を製本した場合、表紙または裏表紙のいずれかと製本テープにまたがるように、相続人全員の実印で契印を押します。

契印の方法(製本)

【割印の方法】

遺産分割協議書を2通以上作成する場合は、その全てにまたがるように、相続人全員の実印で割印を押します。

割印の方法

作成時には相続人全員の実印と印鑑証明が必要

遺産分割協議書の作成が本人の意思であることを裏付けるためにも、相続人全員の実印と印鑑証明(印鑑登録証明書)が必要です。

実印とは、市区町村役場で印鑑登録を行った印鑑のことで、役場の窓口やコンビニで印鑑証明を発行することができます。

役場の窓口で発行した場合の手数料 350円
コンビニで発行した場合の手数料 250円

※発行手数料の金額は自治体によって異なります

<印鑑登録していない相続人がいる場合>
印鑑登録していない相続人には、住民登録している市区町村役場で印鑑登録の手続をしてもらいましょう。

ゴム印や大量生産された100均の印鑑などは印鑑登録できない可能性があります。
また、悪用されないためにも銀行印や認印と使い分けた方が望ましいです。

遺産分割協議書を相続人の人数分作成し、相続人全員の印鑑証明を添付して保管する

遺産分割協議書は、相続人の人数分作成し、署名捺印します。
遺産分割協議書の原本は、相続人全員の印鑑証明を添付して、相続人それぞれが1通ずつ保管します。

<相続手続では遺産分割協議書と印鑑証明の原本が必要>
遺産分割協議書や印鑑証明は、相続手続において原本の提出を求められることがほとんどです。

署名捺印した遺産分割協議書をコピーすると原本として扱われないので注意が必要ですので、遺産分割協議書は人数分印刷して、そのすべてに相続人全員の印鑑を押しましょう。
また、相続手続が複数ある場合は、原本の還付を申請しましょう。

遺産分割協議書の訂正が必要になったら

遺産分割協議書の誤字・脱字程度であれば、訂正印や捨印による修正方法があります。

訂正印 訂正が必要な箇所に二重線を引き、その近くに正しい内容を記載します。
そのうえで、相続人全員の実印で訂正箇所に訂正印を押します。
※相続人の情報を修正する場合は、その相続人だけの訂正印が必要です
捨印 遺産分割協議書の余白にあらかじめ相続人全員の実印で捨印を押しておきます。
訂正が必要になった場合、訂正箇所に二重線を引き、その近くに正しい内容を記載し、捨印の近くに訂正・削除・追加した文字数を記載します。

もっとも、遺産分割協議の内容に訂正がある場合は、相続人全員で遺産分割協議をやり直した後、合意できた内容で改めて遺産分割協議書を作成する必要があります。

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遺産分割協議書のテンプレート(文例集)

遺産分割協議書は、誰がどの遺産をどのように相続するのかを明確に記載しなければなりません。そこで、遺産分割協議書に記載する内容を、ケース別に文例を用いて詳しく解説していきたいと思います。

共通して必要になる項目

まずは、遺産分割協議書に共通して必要になる項目をみていきましょう。
最低でも次の7項目は記載が必須となります。

  • ①タイトル「遺産分割協議書」
  • ②被相続人の情報(氏名、逝去日、本籍地、最後の住所、生年月日)
  • ③遺産分割協議への合意の事実
  • ④遺産の内容と分割方法
  • ⑤作成日付
  • ⑥相続人全員の情報(氏名、現住所)
  • ⑦相続人全員の署名捺印(実印)

預貯金がある場合

遺産に預貯金がある場合は、遺産の内容と分割方法の項目に、誰がどの預貯金を相続するのかを漏れのないように記載しましょう。

  • 金融機関名
  • 支店名
  • 種別(普通預金、定期預金など)
  • 口座番号

<例①>
2.相続人Bは、次の預貯金を取得する。
  ゆうちょ銀行 通常貯金 記号▲▲ 番号▲▲▲▲▲▲▲
  ▲▲銀行 ▲支店 普通預金 口座番号▲▲▲▲▲▲▲

<例②>
2.相続人Bと相続人Cは、次の預貯金をそれぞれ2分の1ずつ取得する。
  ▲▲銀行 ▲支店 定期預金 口座番号▲▲▲▲▲▲▲

マンションがある場合

遺産にマンションがある場合は、遺産の内容と分割方法の項目に、誰がどのマンションを相続するのかを不動産の登記事項証明書(登記簿)の内容に従って漏れのないように記載しましょう。

  • 一棟の建物の表示・・所在、建物の名称、構造
  • 専有部分の建物の表示・・家屋番号、建物の名称、種類、構造、床面積
  • 敷地権の表示・・符号、所在及び番地、地目、地積、敷地権の種類、敷地権の割合

<例>
1.相続人Bは、次の不動産を取得する。

一棟の建物の表示
所在東京都新宿区西新宿▲丁目▲番
建物の名称▲▲マンション

専有部分の建物の表示
家屋番号西新宿▲の▲▲
建物の名称201
種類居宅
構造鉄筋コンクリート造1階建
床面積2階部分 50.00m²

敷地権の表示
土地の符号1
所在及び番地東京都新宿区西新宿▲丁目▲番
地目宅地
地積2000.00 m²
敷地権の種類所有権
敷地権の割合1000分の25

一人が全て相続する場合

一人の相続人が全て相続するケースでも、他の相続人がいる場合は遺産分割協議を作成する必要があります。

具体的には、遺産の内容と分割方法の項目に、一人の相続人が全ての遺産を相続する旨を記載し、相続人全員で署名捺印します。

<例>
被相続人の妻が遺産を全て相続し、子供たちが相続分の放棄をした場合の文例です。

被相続人の共同相続人全員で、被相続人の遺産について協議を行った結果、次のとおり遺産分割することに合意した。

  • 1.被相続人の一切の財産及び債務は、相続人Aが取得する。
  • 2.被相続人の債務について、相続人B及び相続人Cが被相続人の債権者から弁済を請求された場合、相続人Aが当人に代わって債務を弁済する。
  • 3.本協議書に記載のない遺産及び後日判明した遺産については、その一切を相続人Aが取得する。

以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、これを証するため本協議書を3通作成し、それぞれ署名捺印のうえ、各自1通を保有するものとする。

▲年▲月▲日

住所 ~省略~
氏名 相続人A ㊞

住所 ~省略~
氏名 相続人B ㊞

住所 ~省略~
氏名 相続人C ㊞

相続放棄した人がいる場合

相続放棄した人は、はじめから相続人ではなかったことになるので、相続放棄した人を除いた相続人全員で遺産分割協議を行って、遺産分割協議書を作成し、署名捺印します。

相続放棄した人がいることを遺産分割協議書に記載する必要もありません。

<遺産分割協議で相続分を放棄した人がいる場合>
相続を放棄する方法には、家庭裁判所における“相続放棄”と、遺産分割協議における“相続分の放棄”の2種類があります。

家庭裁判所における相続放棄 相続開始から3ケ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述を行い、受理してもらう方法です。
相続権を全て放棄するため、負債を相続しなくて済みます。遺産分割協議に参加し、協議書に署名捺印してしまうと、相続放棄が無効になります。
遺産分割協議における相続分の放棄 遺産分割協議で、他の相続人に対して相続分を放棄する意思表示をする方法です。法的な相続人の地位は失わないため、債権者(金融機関など)から返済を求められた場合、拒否できず返済義務を負うおそれがあります。遺産分割協議書への署名捺印が必要です。

<例>
遺産分割協議で相続分を放棄した相続人がいる場合の文例です。

被相続人の共同相続人全員で、被相続人の遺産について協議を行った結果、次のとおり遺産分割することに合意した。

  • 1.相続人Aは、次の遺産を取得する。
    ~省略~
  • 2.相続人Bは、次の遺産を取得する。
    ~省略~
  • 3.相続人Aは、被相続人の葬儀に関する一切の費用を負担する。
  • 4.本協議書に記載のない遺産及び後日判明した遺産については、相続人Aがこれを取得する。

以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、これを証するため本協議書を3通作成し、それぞれ署名捺印のうえ、各自1通を保有するものとする。

▲年▲月▲日

住所 ~省略~
氏名 相続人A ㊞

住所 ~省略~
氏名 相続人B ㊞

住所 ~省略~
氏名 相続人C ㊞

相続人に未成年者や認知症の人がいる場合

相続人に未成年者や認知症の人がいる場合、判断能力のない人が単独で行った法律行為は、無効となる可能性があるため、代理人(親権者、未成年後見人、特別代理人)や後見人(親権者、未成年後見人、特別代理人)を選任して遺産分割協議を行うことになります。

したがって遺産分割協議書には、代理人や後見人を選任したことを記したうえで、代理人や後見人の署名捺印が必要になります。

<例>
被相続人の共同相続人全員である相続人A、相続人B及び相続人Cの未成年後見人Dは、被相続人の遺産について協議を行った結果、次のとおり遺産分割することに合意した。

~遺産の内容と分割方法は省略します~

以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、これを証するため本協議書を3通作成し、それぞれ署名捺印のうえ、各自1通を保有するものとする。

▲年▲月▲日

住所 ~省略~
氏名 相続人A ㊞

住所 ~省略~
氏名 相続人B ㊞

住所 ~省略~
氏名 相続人C

相続人Cの未成年後見人
住所 ~省略~
氏名 未成年後見人D ㊞

遺産分割協議書の提出先

作成した遺産分割協議書の提出先を、遺産別にまとめました。
どのような手続が必要になるのかとあわせて確認しておきましょう。

遺産 提出先 その他必要な手続
預貯金 各金融機関 ・預金の払戻し
・口座の名義変更
不動産 法務局 ・相続登記
株式 証券会社か株式の発行元の会社 ・名義変更
自動車 運輸支局
軽自動車検査協会(軽自動車の場合)
・名義変更

遺産分割協議書の作成後に新たな遺産が判明した場合

遺産分割協議書の作成後に新たな遺産が判明した場合は、見つかった遺産のみを対象とした遺産分割協議を行って遺産分割協議書を作成すれば足ります。

もっとも、相続人全員が同意できる場合には、遺産分割協議をはじめからやり直すことも可能です。

<遺産分割後に新たな遺産が判明した場合に備えた対処法>
遺産分割協議で、「遺産分割協議書に記載のない遺産や、後日新たな遺産が判明したらどのように対処するか」をあらかじめ決めておいて、遺産分割協議書に盛り込んでおくとよいでしょう。

ただし、遺産分割協議をやり直した場合も、相続税の金額が自動的に変更になるわけではありませんので、ご注意ください。

新たな遺産が見つかって相続税が増える場合には「修正申告」、減る場合には「更正の請求」という手続きが別途必要になる可能性があります。

特に、申告期限を過ぎてからの修正申告には延滞税などのペナルティが課されるおそれもあるため、速やかな対応が求められます。

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遺産分割協議書に関するQ&A

遺産分割協議書は手書きじゃなきゃダメですか?

遺産分割協議書はパソコンなどで作成することも可能です。

遺産分割協議書の作成方法について法的な定めはないので、必ずしも手書きである必要はありませんが、相続人の住所と氏名は手書きであることが望ましいです。

<相続人の住所と氏名は手書きがおすすめ>
相続人全員が合意したことを証明するのは、実印による捺印があれば足りますが、より証拠としての価値を高めるためにも、相続人の住所・氏名は各自で手書きすることをおすすめします。

遺産分割協議証明書って何ですか?遺産分割協議書とは別に作る必要がありますか?

遺産分割協議証明書とは、遺産分割協議の結果をまとめ、相続人全員の合意で成立していることを証明する書類のことです。

遺産分割協議証明書と遺産分割協議書の法的な効力は同じなので、どちらか一方を作成すればよく、両方を作成する必要はありません。

<遺産分割協議証明書と遺産分割協議書の違い>
遺産分割協議書は相続人全員で作成しなければなりませんが、遺産分割協議証明書は相続人単独で作成することができます。

遺産分割協議証明書は、相続人全員が一通の書類に署名捺印するのではなく、各相続人が「協議内容に同意した」という証明書に個別に署名捺印する形式です 。

特に北海道にお住まいの場合、相続人が道内外の広範囲に分散していることも少なくありません。一通の協議書を郵送で回すと、冬期の郵便遅延や紛失のリスク、作成までに数ヶ月を要するおそれがあります。

各相続人と個別にやり取りできる「証明書」形式を活用することで、手続きを大幅にスピードアップできる可能性があります。※各相続人が作成した遺産分割協議書が全て揃わなければ相続手続は行えません

遺産分割協議書なしでも預金の相続はできますか?

遺産分割協議書がなくても預金を相続できる可能性はあります。

金融機関によっては遺産分割協議書がなくても、所定の書類に相続人全員の署名捺印があれば預金を解約できることがありますので、手続に必要な書類について事前に確認しておくと安心です。

他にも財産がある状態で不動産のみ記載された遺産分割協議書を作成しても有効になりますか?

他にも財産がある状態で、不動産のみ記載した遺産分割協議書を作成することは可能です。

一般的には、遺産全てについて遺産分割協議書を作成しますが、
・合意できた不動産のみ遺産分割したい
・相続登記をはやめに終わらせたい
・全ての遺産について合意できたけど、相続登記の際に他の情報を知られたくない

などの理由で、相続登記用に不動産のみの遺産分割協議書を作成しても法的に無効になることはありません。

遺産分割協議書の捨印は何に使うのですか?押しても大丈夫ですか?

遺産分割協議書の捨印は、後に誤字や脱字などで軽微な訂正が必要になったときに訂正印として利用できるように備えて、各ページの余白部分に押しておく印鑑のことです。

捨印がないと、都度相続人全員に訂正印をもらわなければなりません。

<捨印で訂正ができる範囲>
捨印で訂正できる範囲について明確な定めはありませんが、誤字や脱字といった比較的軽微な記載ミスに限定され、遺産分割の内容に変更が生じたなど、本人の意思を害することになりかねない訂正については、捨印で訂正することはできないと考えられます。

<悪用される可能性もゼロではない>
基本的に、遺産分割の内容を変えるような訂正は認められませんが、法務局や銀行などの判断次第では手続が進められてしまう可能性が全くないわけではないので、捨印を押すかどうかは慎重に判断する必要があります。

相続人の中に海外在住者がいます。署名や実印、印鑑証明はどうしたら良いですか?

海外に在住している相続人については、郵送で書面のやりとりをして自筆の署名をもらったり、印鑑証明の代わりにサイン証明書を提出してもらったりして対応することになります。

<署名>
一時帰国が難しい場合には、郵送するなどして書類のやりとりをする必要があります。
紛失などのリクスを軽減するためには、遺産分割協議証明書の利用も検討しましょう。

<実印・印鑑証明>
実印・印鑑証明の制度がない国では、実印に代わる署名・サインと、印鑑証明に代わるサイン証明(日本領事館などの在外公館で発行してもらえる)が必要になります。

また、住民票に代わる在留証明書、戸籍に代わる相続証明書が必要なケースもあります。

遺産分割協議書を無効にするにはどうしたら良いですか?

遺産分割協議書は、一度有効に成立すると、後から一方的に無効にしたり取り消したりすることは極めて困難です。

「ハンコを押してしまったが、やっぱり納得いかない」という理由だけでは、法的無効を勝ち取ることはほぼできません。

ただし、特定の事由がある場合に限り、無効や取り消しを主張できる可能性があります。これらには高度な立証が必要となるため、不当な協議を押し付けられそうな場合は、署名する前に必ず弁護士へご相談ください。

遺産分割協議書は基本的に無効にすることはできませんが、相続人全員が無効について合意できる場合や、次のような無効事由にあてはまる場合に限り、遺産分割協議書を無効にして協議をやり直せることがあります。

<無効事由>
・相続人全員が遺産分割協議に参加していなかった
・相続人でない人が遺産分割協議に参加していた
・未成年者や認知症の人など、意思能力を欠く相続人が単独で遺産分割協議に参加していた
・遺産分割協議の内容が公序良俗に反する
・遺産分割協議書の署名捺印が偽造された など

<遺産分割協議書の取り消しができる可能性もある>
勘違いしていたり(錯誤)、騙されていたり(詐欺)、脅されたり(強迫)して合意してしまった場合は、遺産分割協議書を取り消して、協議をやり直せる可能性があります。

遺産分割協議書についてお困りの場合には、弁護士にご相談ください

遺産分割協議書に記載すべき内容はそれぞれのご家庭やご事情によって異なりますし、作成方法についても明確な定めがないので、どのように作成すればよいかお困りの方も多いのではないでしょうか。

遺産分割協議書についてお困りの場合は、一度弁護士に相談することをおすすします。

遺産分割協議書の作成はもちろん、前提となる相続人や遺産の調査や、他の相続人との交渉、相続手続についても弁護士がアドバイス・サポートすることが可能です。

まずはお気軽に弁護士法人ALGまでご相談ください。

札幌法律事務所 所長 弁護士 川上 満里奈
監修:弁護士 川上 満里奈弁護士法人ALG&Associates 札幌法律事務所 所長
保有資格弁護士(札幌弁護士会所属・登録番号:64785)
札幌弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。