モラハラ配偶者が離婚してくれない場合の対抗手段や注意点

離婚問題

モラハラ配偶者が離婚してくれない場合の対抗手段や注意点

札幌法律事務所 所長 弁護士 川上 満里奈

監修弁護士 川上 満里奈弁護士法人ALG&Associates 札幌法律事務所 所長 弁護士

話しかけても無視されたり、「家を出て行け」、「俺(私)をイラつかせてばかりで何の役にも立たない」など脅迫・侮辱するようなことを言われるなど、配偶者からのモラハラに耐えかねて離婚を決意される方も多いのではないでしょうか。

ですが、モラハラ配偶者に離婚を切り出しても、頑なに離婚に応じてもらえないというケースはよくあります。

そこで今回は、どうすればモラハラ配偶者と離婚できるのかを、モラハラ配偶者が離婚に応じない理由や注意点を交えながら解説していきたいと思います。

モラハラ配偶者が離婚に応じない理由

モラハラ配偶者自身が離婚へと追い込むような言動をしているにもかかわらず、いざ離婚を切り出すと、離婚に応じてもらえないことが多いです。
モラハラ配偶者が離婚に応じない理由として、次のようなことが考えられます。

  • ①プライドが高い
  • ②自分に自信がない
  • ③自分が正しく、離婚請求される理由がないと思い込んでいる

次項で詳しくみていきましょう。

プライドが高い

モラハラをする人は、プライドが高いことが多いです。
プライドの高い人は、配偶者を自分より下の立場だと思っていて、目下の相手から離婚を切り出されると、「プライドを傷つけられた」、「自分を否定された」と感じて、離婚を拒む傾向にあります。

また、プライドの高い人は、周りの目や世間体を気にする人も多く、離婚することで周囲の評価が下がるのではないかとおそれて、離婚を受け入れないケースもあります。

自分に自信がない

モラハラをする人のなかには、自分に自信がないタイプの人も多いです。

配偶者を自分より下の立場に置き、支配することにより安心感を得ているようなケースでは、手放したくない、安心感を手放したくないという感情から、相手を縛り付けるために離婚に応じないということがあります。

自分が正しく、離婚請求される理由がないと思い込んでいる

モラハラをする人は、自分は正しいと思ってきつい言葉を述べていることも多く、モラハラを自覚していないことが多いです。

そのため、相手から離婚を切り出されても「離婚請求される理由がない」と思い込んでいるため、「離婚したいという考えが間違っている」と決めつけて、離婚を受け入れてくれません。

「暴言ではなく指導」などと自分を正当化するため、相手の思考・気持ちを理解できずに離婚を拒否するケースも少なくありません。

モラハラ配偶者が離婚してくれない場合の対抗手段

モラハラ配偶者が離婚してくれない場合、どうすればよいのでしょうか?
具体的な対抗手段として、

  • ①証明できる証拠を集める
  • ②別居してみる
  • ③弁護士等、第三者に相談する

といったものが挙げられます。

それぞれ、次項で詳しくみていきましょう。

証明できる証拠を集める

まずは、モラハラがあった事実を証明できる証拠を集めましょう。
離婚について夫婦間で合意できず、調停や裁判へと発展した場合に、証拠があると離婚が認められやすくなります。

次に挙げるようなものを、なるべく多く集めておきましょう。

【モラハラの証拠になり得るもの】

  • モラハラの内容を記録した日記やメモ
  • モラハラの言動を録音・録画したデータ
  • モラハラ配偶者から届いたメールや、LINE等のSNS
  • 精神科・心療内科への通院履歴や医師の診断書
  • 親族や友人等、第三者の証言 など

別居する

思い切って別居してみることも、ひとつの手段です。
モラハラ配偶者との生活で精神的に追い詰められている場合、冷静な判断ができなくなってしまうことも多いので、物理的に距離を置いて、ご自身や子供の安心・安全を確保することが大切です。

3年~5年以上の別居実績があれば、裁判に発展した際に、「婚姻生活を継続し難い重大な事由がある」として離婚が認められやすくなります。

ただし、別居のしかたによっては、相手方が「悪意の遺棄をした」といった捉え方をして、離婚原因を作った側であると主張する可能性もあります。
また、別居の際の対応によって後々トラブルになることもあるので、次のことに注意しましょう。

【別居するにあたっての注意点】

  • 別居の理由や開始日を明確にして、置き手紙やメールで配偶者に伝えておく
    (無理してモラハラ配偶者の承諾を得る必要はありません)
  • モラハラ配偶者に別居先を知られないようにする
  • 未成年の子供と一緒に別居する場合、相手にもその旨を事前に伝えておく

子供がいる場合

子供がいる場合、「子供のために離婚や別居しない」とお考えになる方も多いかと思います。
ですが、モラハラ配偶者との生活を続けることは、かえって子供に悪影響を及ぼす可能性もあります。

例え子供自身がモラハラの被害を受けていなくても、両親のやり取りを目の当たりにして大きなストレスを受け、心身に影響する危険性があるので、子供を守るために必ず離婚や別居を避けなければならないとは言い切れません。

経済的に不安な場合

別居するにあたって経済的な不安がある場合、別居している間の生活費を、モラハラ配偶者に負担してもらえる可能性があります。

法律上、夫婦は、婚姻中の生活のために必要な費用(婚姻費用)を分担する義務があります。

専業主婦(主夫)やご自身の収入が少ないなど、経済的に不安がある場合は実家を頼るのもひとつの手段ですが、実家を頼れない場合でも、配偶者に対して婚姻費用を請求することで、経済的な不安を軽減できる可能性があります。

もっとも、モラハラ配偶者がすんなり婚姻費用の支払いに応じてくれるとは考えにくいので、裁判所の手続きを利用することも視野に入れて、弁護士に相談してみることをおすすめします。

弁護士等、第三者に相談する

配偶者からのモラハラについて、弁護士や公的機関等の第三者に相談することもおすすめです。

【弁護士に相談する】
弁護士は、モラハラの証拠の集め方や離婚の進め方についてアドバイスが可能ですし、モラハラ配偶者との交渉を任せることもできます。
弁護士が介入することで、モラハラ配偶者が態度を改める可能性もあるので、まずは一度相談してみましょう。

【公的機関に相談する】
モラハラの相談先は、配偶者暴力相談支援センターやDV相談プラス、全国の福祉事務所などの公的機関のほか、心身への影響が深刻な場合は、警察への相談も検討しましょう。
公的機関での相談記録は、裁判へ発展した際の証拠にもなります。

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モラハラ配偶者と離婚の話し合いをする際の注意点

モラハラ配偶者と離婚の話し合いをするにあたっては、相手の一時的な態度に騙されないように注意しましょう。
また、ご自身の安心・安全を確保するためにも、可能な限り、話し合いは第三者に介入してもらうようにしましょう。

以下、詳しく解説していきます。

相手の一時的な態度に騙されない

離婚を切り出すと、モラハラ配偶者が急に優しくなったり、謝罪したりして、態度を改めたように感じることがありますが、騙されてはいけません。

  • モラハラをする人は、相手を支配するために自分がどう振舞えばよいかを計算できる
  • モラハラには、いいとき(ハネムーン期)と悪いとき(爆発期)を繰り返すサイクルがある
  • 優しくなるのは、一時的なハネムーン期で、モラハラが治ったわけではない

モラハラには上記のような傾向があります。
一時的な態度にほだされて離婚を撤回してしまうと、もとのモラハラ配偶者に戻ってしまうことが多いので、注意しなければなりません。

話し合いは第三者に介入してもらう

モラハラ配偶者と離婚について話し合う場合、第三者に間に入ってもらうようにしましょう。

モラハラをする人は自分が正しいと思っているので、なにを言っても聞こうとしなかったり、否定したりします。
また、自分が相手を支配すべきだ、相手は自分より下の立場だ、などと思っているため、対等な話し合いを望めないことが多いです。

話し合いを成立させるためには、親や共通の知人などの第三者に介入してもらうことをおすすめします。

特に、モラハラ配偶者が逆らえないような、両親やカウンセラーなどの第三者に間に入ってもらうことができれば、世間体を気にするモラハラ配偶者が話し合いに応じてくれる可能性が高くなります。

第三者がモラハラ配偶者の外面の良さに騙されてしまうことも…

モラハラ配偶者との話し合いに、第三者として誰に介入してもらうのかは慎重に検討しましょう。

なぜなら、モラハラ配偶者は外面がいいので、介入してくれる第三者が騙されてしまい、モラハラ配偶者の味方になってしまう可能性もあるためです。

また、場合によっては、介入してくれる第三者にまでモラハラ被害が及んで、これまでの関係性が悪くなってしまうこともあるので、モラハラや離婚の問題に詳しい弁護士などの専門家へ依頼することをおすすめします。

離婚してくれないモラハラ配偶者との離婚に成功した事例

弁護士が介入したことによって、離婚を拒んでいたモラハラ夫と早期の離婚が成立した、私たちの解決事例をご紹介します。

<事案の概要>

夫からのモラハラに耐えかねたご依頼者様が離婚を決意して、子供を連れて別居を開始したという事案です。
夫にはモラハラをしている認識がなく、「なぜ離婚を求められているか分からない。離婚をしたくない。」という意向でした。

<弁護士の活動・結果>

ご依頼者様は早期離婚を望まれていたため、離婚調停を申し立てた上、ご依頼者様に陳述書を作成いただき、裁判所と相手方へ提出しました。
これにより、「離婚は避けられない」と夫が考えを改め、離婚を前提に親権および養育費に争点を絞り協議した結果、早期に離婚調停が成立しました。

モラハラ離婚に関するQ&A

うるさく言うのは私のためだと言ってモラハラを正当化し、離婚してくれません。離婚できないのでしょうか?

モラハラ配偶者がモラハラを正当化して離婚を受け入れない場合でも、離婚できる可能性はあります。
離婚する方法として、次の手段が考えられます。

●弁護士にモラハラ配偶者との交渉を依頼する
●離婚調停を申し立てる

いずれも、専門家が介入することにより、モラハラ配偶者が話し合いに応じる可能性が高くなりますが、相手の合意が得られない場合は、最終的に裁判を起こすことになります。
裁判では、配偶者からのモラハラが原因で婚姻関係が破綻し、継続が困難であることが立証できれば離婚が認められますので、できる限りモラハラの証拠を集めておきましょう。

相手のモラハラに耐えられず不倫したことがばれました。それでも離婚してくれない場合、どうすればいいでしょうか?

一般的に、不倫した側からの離婚請求は認められないことが多いです。
不倫したことにより有責配偶者とみなされると、離婚裁判に発展した場合、相手が離婚を拒む限りは基本的に離婚が認められません。

もっとも、不倫する以前から配偶者のモラハラによって婚姻関係が破綻していたことを立証できる場合や、非常に長期間の別居が継続している場合、一定の条件を満たす場合は、離婚が認められるケースもあります。
また、弁護士が介入することで話し合いによって離婚できる可能性もありますので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

モラハラ配偶者が離婚してくれない等、お困りの場合は弁護士へご相談ください

モラハラをする人は、自分が正しいと思い込んでいることが多く、支配・コントロールできる配偶者を手放したくないと考えるため、なかなか離婚に応じません。
このように、モラハラ配偶者との離婚でお困りの場合は、弁護士へ相談することをおすすめします。

弁護士であれば、モラハラの証拠集めの方法はもちろん、別居すべきかといった点についてもアドバイスすることができます。

なにより、弁護士に交渉を依頼すると、モラハラ配偶者との交渉を弁護士に任せることができるので、ご依頼者様がモラハラ配偶者と直接話す必要がなくなるうえ、慰謝料などの離婚条件についても納得できる結果を得やすくなります。

モラハラ配偶者との離婚をお考えの方は、ぜひ一度、弁護士法人ALGまでご相談ください。

札幌法律事務所 所長 弁護士 川上 満里奈
監修:弁護士 川上 満里奈弁護士法人ALG&Associates 札幌法律事務所 所長
保有資格弁護士(札幌弁護士会所属・登録番号:64785)
札幌弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。