監修弁護士 川上 満里奈弁護士法人ALG&Associates 札幌法律事務所 所長 弁護士
近年、セックスレスを理由に離婚を考えている方が多く見受けられます。
しかし、夫婦のセックスレス問題については、第三者には相談しづらく、1人で悩みを抱えていらっしゃる方が多いといわれています。
本記事では、「セックスレスでの離婚」に関して、詳しく解説していきます。
セックスレスを理由に離婚を考えている方は、ぜひ参考になさってください。
Contents
セックスレスとは
セックスレスとは、夫婦でありながら、特別な事情がないにもかかわらず、一定期間、性交渉がない状態が続くことを指します。
セックスレス自体が違法となるわけではありませんし、加齢や病気など様々な理由でセックスレスの状態にある夫婦はいらっしゃるでしょう。
問題になるのは、夫婦の一方が性交渉を望んでいるにもかかわらず、もう一方の配偶者が性交渉を受け入れないケースです。
長期間にわたり性交渉を拒否される状況が続くと、求める側にとって大きな精神的負担となり、離婚や慰謝料請求を検討するに至る場合があります。
セックスレスは離婚原因として認められるのか
夫婦間での話合いや離婚調停で離婚する場合は、夫婦双方の合意が得られれば、離婚は成立します。
そのため、セックスレスが離婚原因だとしても、夫婦双方が合意すれば離婚は認められます。一方、離婚裁判まで至った場合は、次の裁判上で離婚が認められる理由(法定離婚事由)のいずれかに該当する必要があります。
- ① 配偶者に不貞行為があったとき
- ② 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- ③ 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- ④ その他、婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
セックスレス自体が違法となるわけではありませんが、夫婦の一方が性交渉を求めているにもかかわらず、正当な理由なく性交渉を拒否し続けることは、上記の法定離婚事由のうち、「婚姻を継続し難い重大な事由」にあてはまって、離婚が認められる可能性があります。
セックスレスでの離婚率
最高裁判所が公表している令和5年度の司法統計によると、裁判所に申し立てられた婚姻関係事件のうち、申立ての動機が、セックスレスを含む「性的不調和」とした方は4234人おり、全体の約7.4%となっています。
このように、性的不調和を理由の一つとして離婚を考える方は一定数存在しており、決して珍しい悩みとはいえません。
セックスレス離婚の慰謝料
セックスレス離婚をすると、どのような場合でも慰謝料が発生するわけではありません。
そもそも離婚慰謝料は、相手が夫婦関係を破綻させる有責行為をした場合に発生します。
違法に夫婦関係を破綻させて、相手に精神的苦痛を負わせたことは不法行為になるので、金銭を支払うことによって、相手を慰謝しなければならないと考えられています。
代表的な慰謝料が発生するケースには、夫婦の一方または双方が浮気・不倫をしていてセックスレスになっているケースが挙げられます。
一方で、夫婦の双方が性交渉を望んでいない場合や、加齢・病気などやむを得ない事情がある場合には、離婚が成立しても慰謝料請求が認められない可能性があります。
慰謝料の相場
セックスレスが離婚原因で慰謝料が発生する場合の相場は、0~100万円程度になります。
慰謝料の金額は、セックスレスによって相手に与えた精神的・肉体的苦痛の大きさによって異なります。
具体的には、セックスレスの期間が相当長い、相手の拒絶の態様が激しい、結婚してから一度も性交渉していないなど、精神的苦痛が通常より大きいと評価されるような事情がある場合は、慰謝料の増額事由になり得ます。
ただし、これらはあくまでも一般論であり、個別の事情によって結論は大きく変わることにご注意ください。
請求方法
セックスレスによる慰謝料の請求方法は、主に次の流れになります。
- ① 当事者間での話合い まずは当事者間で、慰謝料を支払うかどうかや、支払う場合は慰謝料の金額、支払方法、支払期限などを具体的に話し合います。 話合いで合意できれば、後日起こり得るトラブルを未然に防ぐために、取り決めた内容を離婚協議書や合意書といった書面にしておくことをおすすめします。
- ② 離婚調停 話合いで合意できなかった場合は、家庭裁判所で離婚調停を申し立てます。 離婚調停では、調停委員が介入して、離婚するかどうかや、慰謝料をはじめ離婚条件について話し合いで解決を図ります。
- ③ 離婚裁判 離婚調停での話合いで合意できなかった場合は、調停不成立となりますので、次に最終手段として離婚裁判を提起します。 離婚裁判で慰謝料を請求するときは、証拠の提示が必要となります。 裁判官が当事者双方の主張や提出された証拠をもとに審理して判決を下します。
離婚慰謝料請求については、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
離婚慰謝料請求についてセックスレス離婚の切り出し方
まずは、夫婦2人きりとなってゆっくり話ができる状況のときに、「離婚したい」ことを伝えたうえで、セックスレスが理由であることを正直に伝えましょう。
相手によっては、「そんな理由で?」と言われるかもしれませんが、自分にとって性交渉を拒否されることのつらさや、夫婦が円満な関係を継続させるためには定期的に性交渉を持つことが大切だと考えていることなど、思っていることを正直に話しましょう。
感情的な言い争いにならないよう、できるだけ落ち着いて話し合うことが重要です。
難しい場合には、無理にその場で結論を出そうとせず、後日の話合いや第三者を交えた手続を検討することも考えられます。
離婚したくないと言われた場合
離婚したくないと拒否された場合は、いったん話合いを終わりにすることをおすすめします。話合いの後、相手がセックスレスを解消するために動いてくれれば、離婚を考え直してもいいかもしれません。
ご自身の決意が固い、もしくは相手が何も改善する行動を示さないといった場合には、状況をみて再度離婚を申し出ましょう。
それでも離婚を拒否される場合は、別居を検討してください。
長期間の別居があると、そうでない場合に比べ、夫婦関係が破綻していることを証明しやすくなり、裁判所の手続きに進んだ場合に離婚が認められやすくなります。
セックスレス離婚に必要な証拠
セックスレスを理由に離婚する場合、証拠としてどのようなものが必要になるでしょうか?
不倫・浮気やDVなどを理由に離婚する場合に比べて、セックスレスの証拠収集は容易ではありません。
それでも、次項で解説するような証拠を集められると、セックスレスの事実を立証できる可能性があります。
夫婦の生活時間帯などがわかる表
起床時間や出勤時間、帰宅時間、就寝時間など夫婦双方の毎日の生活状況を書いた表が証拠の一つとなり得ます。
詳細な表を作成することによって、性交渉が可能であるにもかかわらず、拒否されていることの証明になります。
セックスレスについて夫婦で話した会話の録音
相手が正当な理由もなく性交渉を拒否している発言や、夫婦間でセックスレスについて話し合いをしたときの会話の録音は有効な証拠の一つとなり得ます。
会話の録音だけでなく、メールやLINEでセックスレスについてやり取りした場合も証拠になり得ます。なるべく複数回の話合いの記録があると良いでしょう。
セックスレスのことが書かれた日記
毎日記載している日記は、セックスレスの証拠になり得ます。
性交渉の有無はもちろんですが、自分から性交渉を求めたときの相手から拒絶を示す返答や態度を詳細に書いておくと有用です。
さらに、拒絶をされた際にご自身がどんな気持ちになったのか、どれだけ悩んだかについても書き留めておくといいでしょう。
拒絶されたときだけ書くのではなく、毎日の積み重ねが大事ですので、日々の事実と感情を日記に書いておくようにしてください。
あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います
セックスレスでの離婚でよくある質問
セックスレスで離婚した場合、子供の親権はどちらになりますか?
セックスレスが理由で離婚したということは、子供の親権には基本的に影響しません。
子供の親権は、これまでの監護状況や今後の養育環境、子供の生活の安定などをふまえ、父、母、あるいは双方のいずれが親権者となることがが、子供の福祉に適うかを最も重視して判断されます。
そのため、セックスレスで夫婦関係が冷めきっていても、子供にとって、より良い環境を提供できる方が親権者として選ばれる可能性は高いといえます。
セックスレスを理由に不倫された場合は離婚慰謝料を請求することはできますか?
不貞行為が認められれば、事情に応じて慰謝料を請求できる可能性があります。ただし、請求が認められるかどうかは、不貞行為の有無だけでなく、その時点で婚姻関係が破綻していたかなどの事情によって左右されます。
妊娠中のセックスレスでも離婚できますか?
妊娠中のセックスレスが原因では、離婚は難しいといえます。
妊娠中であるというのは、性交渉に応じられない正当な理由となるため、セックスレスだったとしても離婚が認められない可能性が高いです。
もっとも、妊娠中のセックスレスが原因であっても、当事者間での話合いや離婚調停で、当事者双方が離婚することに合意ができれば、離婚は可能です。
セックスレスにより離婚する場合は弁護士にご相談ください
性に関して夫婦間で考え方に差があると、最終的には離婚問題まで発展してしまいます。
セックスレスは、デリケートな問題であるため、周囲に相談できず、1人で悩みを抱えている方も少なくありません。
セックスレスが理由で離婚を考えている方は、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士にご相談いただければ、個別の事情を丁寧に伺い、法的観点に基づいて、セックスレスが理由で離婚できるのか、どのように離婚を進めていくべきか、あるいは慰謝料請求できるか、どのように慰謝料請求していくべきかなどをアドバイスいたします。
弁護士に相談することで、手続の見通しや必要な準備、相手方との交渉の進め方について整理しやすくなります。まずは、お気軽に弁護士法人ALGにお問い合わせください。

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保有資格弁護士(札幌弁護士会所属・登録番号:64785)
